こんにちは。nanaです。
「今夜は日本酒!」となれば、肴はお刺身を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
実は日本酒にも様々な種類があるように、日本酒と相性の良い肴はお刺身などの和食にとどまらず、洋食やスイーツにも合うのです。今回は、恵比寿にお店を構える「岩崎酒舗」さんで販売されている日本酒を通して、日本酒との食べ合わせの例をご紹介します。(※尚、販売状況により購入できない可能性もございますので、ご注意ください。)
岩崎酒舗までのアクセス
岩崎酒舗は東京都JR恵比寿駅西口から徒歩3分の場所にあります。大通り沿いなのに外観はちょっとひっそりしてて、気づかずに通り過ぎてしまうこともしばしば。入店すると、すぐ左手には冷蔵庫に陳列された日本酒、右手にはワインが壁一面並んでいます。日本酒の種類は一地域に偏らず、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の地酒を満遍なく販売されており、手書きで書かれた各銘柄に合う肴のタグを掛けています。大手や流行りに関係なく、岩崎さんご自身の目利きで良いと思ったお酒を卸している印象で、コンビニでもたまに見かける「加賀鳶」から、まだ聞いたことのなかった地酒銘柄まで様々です。店主の岩崎さんは食べ合わせやお客さんの嗜好に合わせたお酒選びのご提案に熱心な方で、筆者も前職の帰り道にほぼ毎日のように丁寧に教えていただきました(本当にお世話になり、大感謝です…)。お酒選びの際にお声がけすると嬉しそうに説明してくださいます。是非お話ししてみてくださいね。
純米酒、純米吟醸、純米大吟醸
青木酒造 「鶴齢 特別純米 山田錦」
純米酒は、お米本来のふくよかで落ち着いた香りに、旨みのある飲み口が特徴です。中でも、淡麗辛口のお酒の多い新潟県の酒造の中で、魚沼市にある青木酒造の「鶴齢」は太い芯のある濃厚な旨口で醸しており、東京でジワジワと人気が出ているそう。魚沼市は保存の効く食文化が残っており、甘塩っぱい濃い味との料理とリンクして肉料理やバターを使った料理との相性◎
葛城酒造「百楽門 純米吟醸 雄町100%」
純米吟醸酒は、「純米酒」と呼ばれるものよりも多く精米しているため、主張しすぎずも比較的香りを感じることができます。尚且つ、米、麹、水のみで造られた「純米」のカテゴリであることからお米の旨味も味わうことができるのが特徴です。柿の葉寿司の産地の奈良県にある葛城酒造が造る「百楽門 純米吟醸 雄町100%」は、酢締めの魚料理にはもちろん、雄町米の特徴的な旨味がウニやグラタンなどのクリーミーな味をいっそう惹き立たせます。
新藤酒造店「雅山流 純米大吟醸 極月」
純米大吟醸酒は、雑味がなくクリアでより華やかな吟醸香を感じられるという特徴が一般的によく言われており、香りを楽しむためにワイングラスで飲まれるのもおすすめです。山形県米沢市ある新藤酒造が造る袋取り・無濾過原酒の「雅山流 純米大吟醸 極月」。元々低タンパクで雑味が少なくも、香り豊かな出羽燦々米が最大限に生かされている純米大吟醸酒ですので、合わせる料理もおせちや七面鳥など、華やかな食べ物との相性が良いです。
本醸造、生酛造り、山廃造り
成龍酒造 「伊予賀儀屋 無濾過 味口本醸造 青ラベル」
本醸酒とは、米、麹、水を使い、酵母によるアルコール発酵だけでなく、人の手によってさらに外からアルコールを添加したお酒のことを言います。酵母の香気成分が水よりアルコールに溶けやすいため、日本酒の香りを引き出したり、飲み口が軽くクリアな辛口のお酒にするために用いられています。中でも「伊予賀儀屋 無濾過 味口本醸造 青ラベル」は、本醸造のキレの良さがありつつ、成龍酒造独特の芯のあるふくよかな旨味も兼ね備えています。瀬戸内海近くにある酒造ということもあり、お刺身に使う醤油や、ダシを使った料理とも相性が良いため、海の幸はもちろん、厚焼き卵にダシを加える方は是非お試しください。
南部酒造場「花垣 生酛純米」
生酛造りとは、酒造りの工程で必要な乳酸を人工的に投入するのではなく、お米をすり潰して乳酸菌を発生させ、自然に乳酸を取り入れた日本酒のことをいいます。乳酸菌が織りなす独特な味とコクが特徴ですが、そのまま冷やでいただくと刺々しい味わいと香りで苦手という方もしばしばですが、生酛系のお酒は、少し温かくしたり、温めた後に冷やして飲む「燗冷まし」をすると角が取れた丸みのある味わいになります。福井県の奥越前の酒造が造る「花垣 生酛純米」は、乳酸の味わいと、花垣特有の骨太くも綺麗な飲み口がカレーなどスパイスの効いた料理を引き立てます。
奥飛騨酒造「初緑 純米山廃」
山廃造りとは、生酛造りと同じく自然の力で乳酸を作ることを言いますが、お米をすり潰す工程を行わないお酒のことを言います。こちらも生酛系と呼ばれる種類のため、一般的に独特なパンチのある乳酸の味わいがありますが、生酛造りよりアミノ酸が多く含まれ、比較的味が穏やかと言われています。もつ鍋は醤油、味噌などの発酵食品から旨みを感じるので、そこに「初緑 純米山廃」の山廃の乳酸でさらに旨味がまして美味しくなります。また、肉厚なグリーンオリーブの実も、塩気が少ない新漬けがよく合います。
にごり酒、樽酒
南部酒造場「花垣 純米にごり」、成龍酒造「賀儀屋 無濾過味口 うすにごり生」
にごり酒とは、一般的に思い浮かべる透明色とは異なり、白く濁ったお酒のことを言います。発酵中に発生する粘度の高い泡立ちのある液体(もろみ)を目の粗い布やザルを使い、濾して通った滓(おり)が混ざり、白濁しているのです。お米の旨味にトロリとした厚みのある特徴をもち、甘辛ソース系、ちょっとジャンキーな食べ物とも相性の良いです。全国熱燗コンテストの特殊ぬる燗部門で3年連続金賞受賞している「花垣 純米にごり」は品のあるとろみがするにごり酒で、ロックからお燗まで楽しむことができます。販売開始すると、すぐ売り切れになってしまう、密かに岩崎酒舗の幻の酒、辛口タイプの「伊予賀儀屋 味口うすにごり 生原酒」は、ぎゅっと旨味が凝縮された濃醇なお酒で、ロックでいただくのがおすすめです。
菊正宗酒造「菊正宗 生酛辛口 樽酒」
樽酒とは、木樽にお酒を寝かせることで樽香をつけた日本酒のことを言います。木樽の素材は主に杉が使われており、中でも「吉野杉」が酒樽を作る主なブランド樹で、杉の持つ独特な木の香りがお酒に付加されるそうです。そんな木樽の香りとの食事をさらに引き立て合うのが、少し甘じょっぱい和風の液体物です。例えば、ウナギのタレや、蕎麦つゆです。辛口の日本酒に吉野杉の爽やかな香りをまとった菊正宗酒造の樽酒は、昔ながらの造りを大切に継承されている最高の樽酒です。
古酒、貴醸酒
花垣 BLEND古酒
長期熟成酒研究会では、「満3年以上蔵元で熟成された、糖類添加酒を除く清酒」を古酒(熟成古酒)と定義しています。古酒の特徴は、熟成年数から熟成温度、醸造方法によって異なりますが、当研究会によると、水分子の集合の隙間にアルコール分子が入ることに伴い、水の集合が大きくなるので新酒と異なったまろやかな味わいになることが特徴です。花垣のBLEND古酒は、純米酒を5年間熟成させた日本酒で、食後酒として、濃厚なスイーツといただくのはいかがでしょうか。
花垣 貴醸年譜0年
貴醸酒とは、仕込みの一部、又は全部に水の代わりにお酒を用いて仕込む日本酒のことです。通常の水で仕込んだ時の日本酒に比べてかなり糖度が高く、トロリとした濃厚な甘味が特徴的なのが貴醸酒です。「花垣 貴醸年譜0年」は、そんな甘味を生かして、酸味のあるイチゴや、パイナップルを凍らせミキサーにかけ、カクテルグラスでいただき、食後にはブルーチーズにセロリを刻んでお楽しみください。
花垣 貴醸年譜10年
南部酒造場「花垣 貴醸酒年譜0年」に引き続き、10年熟成された貴醸酒。日本酒ベースで仕込んだ甘みのある貴醸酒の特徴と、熟成された貴賓のある古酒の味が両方楽しめる日本酒。冷やはもちろん、古酒の独特な香りを引き立てるぬる燗の温度でいただくのがお勧めです。鮪寿司やローストビーフを合わせるのはいかがでしょうか。
岩崎酒舗さんから学ぶ様々な日本酒とのペアリングのお話、いかがでしたでしょうか。日本酒は製造工程だけでなく、熟成の時間軸と、幅広い温度帯でも味わいが変化し、それに伴い相性の良い肴の幅も広まります。ご拝読いただきありがとうございました。是非一度、岩崎酒舗を訪れ、日本酒の楽しさを触れていただけたら幸いです。
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