日本酒とワインの違いとは?〜原材料から醸造方法までわかりやすく解説〜

日本酒を知る

こんにちは!nanaです。

突然ですが、日本酒とワインには、どんな違いがあるかご存知でしょうか。

「日本酒はお米が原料で、ワインはぶどうでしょ!他には、え〜と、、」となるかもしれません。

しかし日本酒は”Japanese rice wine” と呼ばれるほど、実は日本酒とワインに深い関係性が存在します。

それでは早速、日本酒とワインの意外な関係性を読み解いていきましょう。

表からわかる日本酒とワインの違い

この記事では、原材料、アルコール度数、醸造方法、主な酒器、楽しむ温度帯からワインと日本酒の違いを読み解いていきます。

ワイン日本酒
原材料ぶどう米、麹、水
醸造方法醸造酒(単発酵)醸造酒(並行複発酵)
アルコール度数約12%約15%
栄養素
(100mlあたり)
カロリー:73kcal
糖分:1.5~2.0g
カロリー:109kcal
糖分:3.6~4.5g
楽しむ温度帯5~18℃5~55℃
主な酒器ワイングラスお猪口、お猪口、平盃、ぐい飲み、枡、
ワイングラス
栄養素カロリーについては厚労省が発表しているレポートを参照。糖分については日本食品標準成分表2015年版を参照。

原材料と醸造方法の違い

発酵のプロセス

ワインと日本酒は、酵母(空気中など、自然界のあらゆるものに生息している微生物)の力を使って、果物や穀物などの原料からアルコールを作る「醸造酒」というカテゴリに分けられる点では一緒です。ですが、アルコールを作る工程は異なります。

酵母は、糖を食べることでアルコールと二酸化炭素を作ります。このはたらきをアルコール発酵といいます。ワインの原料になる葡萄には、既に甘〜い糖が含まれているため、原理としては、葡萄を潰して放置すれば自然とアルコール発酵してワインを作ることができるのです。

一方、お米を原料とする日本酒は、自然にアルコール発酵することはできません。お米には、デンプンと呼ばれる糖が鎖状の構造をした物質(≠ 糖)が存在しているからです。ですので、酵母が糖を食べられるようにするために、このデンプンをチョキチョキ切り分ける麹の力が必要なのです。つまり、日本酒は、麹の力でデンプンを分解して糖にし(糖化)、その糖を酵母が食べてアルコールが作られた(アルコール発酵)もののことを指すのです。

単発酵と並行複発酵

また、ワインのように糖化の工程を行わず、そのまま果実に含まれる糖でアルコール発酵させる発酵方法を単発酵といい、日本酒のように糖化とアルコール発酵の作業を1つのタンク同時に行うことを並行複発酵といいます。

世界のいろんな国に伝統的なお酒がありますが、そのほとんどがすでに糖が含まれる果汁を使用した単発酵のアルコールです。単発酵のアルコールはりんご酒や蜂蜜酒などがあります。並行複発酵は、アジアに多くみられる、穀物を使用する技法で、中国の紹興酒(もち米)、韓国のマッコリ(小麦)などがあります。

アルコール度数の違い

日本酒の方がアルコール度数が高い理由

アルコール度数はワインが約12%、日本酒が約15%と日本酒の方が3%高いですが、この違いも上記で解説した異なる発酵方法によって生まれるものです。

日本酒で使われている並行複発酵の大きな特徴は、加水せずに作られた原酒だと20%近い高濃度のアルコールになることです。既に果汁に含まれる糖を用いて酵母がアルコール発酵する単発酵と比べ、並行複発酵は麹がでんぷんを分解した糖に対して、同時にすぐさま酵母が働きかけ、アルコール発酵をさせるため、効率よくアルコール度数を高めるのです。

ですので、アルコール度数が18.5%、19%などの日本酒の中でも高い日本酒は、夏は冷たくロックで楽しむこともできます。

日本酒とワインのアルコール度数の表記基準

「日本酒」と名乗ることができる1つの定義として、日本酒のアルコール度数は22%未満であること対し、ワインは少し複雑です。

定義の概要
清酒– 米、米麹、水を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22%未満のもの)
– 米、麹、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22%未満のもの)
– 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの(アルコール分が22%未満のもの)
ワイン
(果実酒)
– 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの(アルコール分が20%未満のもの)
– 果実または果実及び水に糖を加えて発酵させたもの(アルコール分が15%未満のもの)
※ 上記の果実酒にブランデー、糖類、香味料、もしくは水を加えたもの(アルコール分が15%未満のもの)
– 上記果実酒に政令で定める植物を浸してその成分を浸出させたもの(アルコール分が15%未満のもの)
全国小売酒販組合中央会 酒類販売管理研修 令和3年度版 参考

「ワイン」と名乗る場合、葡萄の果汁のみを頼りに発酵させたものは20%未満とされ、さらに糖を追加した場合は15%未満と設定されています。

栄養素の違い

日本酒の方が高カロリー

厚労省が発表するデータによると、ワイン100mlあたりカロリーは73kcal、糖分は1.5~2.0g、日本酒はカロリーを109kcal、糖分は3.6~4.5g含んでおり、日本酒の方が高カロリーだと言えます。

ワインに多い栄養素と日本酒に多い栄養素

ビタミンB6は、日本酒の方が少し多く含まれていますが、ビタミン全般についてはそれほど大差はありません。カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄についてはワインの方がより多く含まれています。

一方、腸内環境を良くするオリゴ糖は、日本酒の方が多く含まれています。オリゴ糖は、デンプンが糖に分解される時できる物質で、並行複発酵ならではの栄養素といえるでしょう。

楽しむ温度帯の違い

日本酒は、「冷や」と呼ばれる5%〜20℃、「常温」の15℃〜20℃から、「お燗」と呼ばれる温度帯まで、5〜55℃まで幅広い温度帯で楽しめることができ、日本酒独自の特徴です。また、その温度帯の名称は5℃ごとに異なり、「冷や」と呼ばれる中でも雪冷え (5℃) 、花冷え (10℃)、涼冷え (15℃)と表現されます。温度帯が幅広い理由は、温度で味も風味も変化しますし、日本酒の造り方によって、より楽しめる温度があるからです。

一方ワインの場合、赤ワインは常温、白ワインは冷やして飲むのが一般的です。クリスマスマーケットで販売されるホットワインもございますが、筆者の個人的な意見ですがホットワインであたたまる季節など、冬の風物詩として受け入れられており、あまり通年通していただく主流な温度帯とは言えないのが現状です。

飲む時に使用する主な酒器の違い

ワインは専用のワイングラスで楽しむことが多いですが、日本酒は楽しむ温度帯の幅がとても広いため、それそれの温度に適切な形や素材の酒器があります。その上、ワインと同じ醸造酒という特徴を持つため、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」というコンテストも毎年発表されるほど、日本酒をワイングラスで飲むスタイルも一般的です。幅広い温度帯を、様々な形・素材の酒器で楽しめることは日本酒ならではの特徴と言えるでしょう。

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